cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

ワインとお好み焼きの幸福な関係・「時分時」 

天下の台所・大阪で何を食べるべきか?これほど悩ましい問題はありません。
 出発前、「BRUTUS」(10月15日号)をパラパラと斜め読みしていたら、たまたま目に留まったのが、南久宝寺の鉄板焼き屋さん、「時分時(じぶんどき)」。
 「近くの会社員やOL、ご近所のご隠居さんたちが集う、イタリアの街角で見るような居酒屋風の店」という言葉にクラッ。さらに、「お好み王国・大阪でも唯一無二の妙味」という「とどめ」の一言。迷いは飛びました。 
 トップ写真は、スフレのようにフワリとした豚玉。弱火でじっくりと焼かれたお好み焼きは、内側から外側へとうまみの輪がひろがり、青いキャベツの香りがあとから追いかけてくるようです。
 実は、生地の中に、ゼラチン状に固めた鶏や豚のスープを混ぜ込んでいるそうで、それが熱でとけだして生地に層を生むため、こんなにもやわらかく仕上がるのだとか。外はカリッと、中はフワフワ。赤ワインに合う特製ソースとの相性も絶妙です。

 「サラダにしろパンにしろ、全て鉄板で焼いておだしします」というご主人にオススメを伺いながら、ほかにも「串焼き5種セット」(写真)、「エビパン」、「黒豚のサラダ半熟卵のせ」をいただきました。


       
 
 そして、お好み焼き以上においしかったのが、「まぐろハラミと大阪ネギのもやしソバ」。生でもおいしそうな「まぐろハラミ」を蒸し焼きにして、金針菜と大阪ネギをあわせたものです。 最後にいれるモヤシ(丸々一袋分)はサッと炒めるだけ。仕上げにレモンをひと絞りして、白髪ネギをのせて完成。モヤシのシャキっとした感じがたまらなくおいしい一皿です。
         
 グラスワインは300円から880円までの15種類。ビールなど他のお酒はありません。ソムリエ資格のあるマダム(モデルの梨花ちゃんにちょっと似てます)が、料理にピタリとくるワインを選んでくれるので心配ご無用。
 ただし、こちらのマダム、「薀蓄野郎は無視する(とブルータスに書かれていました)」そうなので、一緒に行く相手は厳選したほうがいいかも?(笑)
 お好み焼きとワインの新しい世界を教えてくれた大阪に感謝。そしてその懐の深さに乾杯しながら、夜はふけていったのでした。