cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

ミラノの老舗菓子店「COVA」

 ミラノは34度。午後の強烈な日差しの中を歩き続けることはできず、モンテナポレオーネの老舗菓子店「cova」でお茶をすることにしました。
 高級ブランド街のど真中にある「cova」のショーウィンドウには、赤や青のベリーをたっぷり使ったトルタが並べられています。素朴で少々無骨なイメージのあるイタリアのドルチェですが、ここのお菓子はなんて洗練されているのでしょう。「さすが大都会ミラノ」。通りすがりのマダムたちも口々に「Che bella!(きれいね)」を連発していました。
 サロンのような優雅な店内は、買い物途中の観光客でいっぱい。パリッとスーツを着こなした男の人たちもBARでカフェを飲んでいます。そして漂う香水の香り。う〜ん、高級パスティッチェリアのムードに酔いそうです。
 ここはパネットーネが評判のお店。パネットーネの語源については諸説ありますが、「昔スフォルツァ城でクリスマスパーティがあったとき、シェフがケーキに失敗して大弱り。洗い場にいたトーニ少年の機転で、急遽焼かれたドライフルーツ入りのパンが大成功。『pane di Toni(トーニのパン)』は後に『panettone(パネットーネ)』とよばれるようになり、ミラノのクリスマスに欠かせないお菓子となった」という話が、一番近いのではないかと思っています。
 宗教的な逸話やロマンチックな恋物語より、「失敗から生まれた偶然」というこの話の方が、いかにもイタリアらしい気がします。少年の名前は本当は「アントニオ」で愛称が「トーニ」だったとか、「教会の丸天井(cupola)に似ているから「pane di cupola」が最初の名前だった」とか、少しずつディテールが違う話がいくつもあるのがイタリアらしいというかなんというか・・・。

 パネトーネ菌は、保水力の高い発酵菌です。あのフワフワした状態を長持ちさせられるのは「パネトーネ菌」のおかげ。卵とフルーツを混ぜ込んだリッチな生地を、3日から5日近くかけてじっくり発酵させていく手間のかかるパンです。
 ただ、これはクリスマスのもの。今回は夏だったため食べることができませんでした。
 代わりに頼んだのはイチゴとラズベリーのトルティーナ2つ(写真のケーキのミニサイズ)。カウンターでカフェを飲みながらゆっくり周りを観察します。よく見ると、barのお兄さんに一人美形がいるではないですか!! ミラノにきてやっとカッコイイ男の子に出会えたよ(うれし泣き)。歴史あるお店の雰囲気は独特で、その後何度も足を運んだお気に入りのお店となりました。