cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

CREPES SUZETTE

 一時は深刻だった「バター不足」ですが、昨年末あたりから徐々にスーパーに戻ってきました。製菓材料専門店のクオカや冨澤商店などでも、今年に入って販売制限を解除(昨年は一回につき一個しか買えませんでした)。バターのことを悩まずにお菓子が作れるとはなんと幸せなことでしょう。
 バター不足が騒がれていた間に、グっと注目されるようになったのは「コンパウンドマーガリン」。植物性油脂と動物性油脂の両方を配合し、マーガリンの軽さにバターの香りをプラスした新しいタイプのマーガリンです。お菓子もパンも軽い仕上がりが好まれる今、多くのパン屋さんのデニッシュやクロワッサン、ケーキ屋さんのパイ生地は「バター」から「コンパウンド」へとシフトしていると聞きます。
 でもねぇ。私は、バターにはバターにしかないよさがあると思うのであります。いや、バターでなくてはダメだというときがあるのです。とくに、こんなお菓子を作るときは…。
  
 
 

 本日のお菓子は、「クレープ・シュゼット」。オレンジ風味のコアントローをふりかけてボっと火をつける例のアレです。最近日本では見かけなくなりましたが(ひところ流行ったような・・・)。 本家フランスではもちろん健在。レストランデザートの代表格として君臨しています。ちなみに、リッツホテルのメインキッチンに入る新人は「一日に百枚完璧なクレープを作ること」が最初の課題だそうです。ひぃ。
 クレープに使われるバターはほんの少し。フライパンでゆっくり焦がしたバターは、ブールノワゼット(BEURRE NOISETTE)とよばれ、生地に加えることで得も言われぬ香りを生み出します。これはもう本物のバターでなくてはできないこと。焦がしバター、ラム、オレンジバターのソース、グラン・マニエ。幾重にも重ねられた香りのハーモニーが華やかなオーラを放ちます。




 バターの話がでたので、ついでにもうすこし。最近気になるのは、「バターはカロリーが高いから)」「体によくない(コレステロールが気になる)」と敬遠される方が多いこと。しかしほんとうにそうなのでしょうか?
j-milk(日本酪農乳業協会さん)」によりますと↓



バター10g(トースト2枚にぬる程度)は、同量のオリーブ油、ごま油、サラダ油など他の油脂類に比べて低カロリーです。また、バター10g当たりのコレステロール含有量は21mg、カロリーで74.5と1日に体内で作られるコレステロール量から考えても、ほとんど気にならないレベルです。だから、「バターはカロリーが高そう」とか「太りそうで心配」という先入観は捨ててもだいじょうぶ。動物性食品を避けてばかりいると、健康的で、元気いっぱいの活力を失ってしまいます。バランスよく上手にバターを食生活に活かしましょう。


 というわけで、バターおそるるに足らず。もちろん自分が納得したものを選ばれるのが一番なので、無理にお薦めすすめするわけにはまいりませんが・・・。でもバターのよさ、すばらしさを、はてなの端っこから小さくアピールしたいと思うのであります。本物のバターの香り。もう一度思い出してみませんか?バター・フォーエバー!