cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

「コーラス」(LES CHORISTES)

 フランス映画「コーラス」を観に行ってきました。「いまを生きる」や「リトルダンサー」のように、多感な少年期の子供たちを描いた作品です。
 舞台は、フランスの片田舎にある「池の底」という寄宿学校。面会に来る親もなく、夏休みに帰る家もない子供たちの元に、ある日新任の教師がやってきます。寂しさをいたずらで紛らわすことでしか自分を表す術を持たない子供たちに、先生はあることを教えようと決めて・・・。
 殺伐とした学校の中で、「コーラス」を通じて光を見出していく生徒たち。青白く無表情だった彼らの顔に、だんだん笑顔と輝きが増していく様子が、瑞々しく描かれています。とくに素晴らしいのは、ソリストをつとめる美少年ピエールの憂いを秘めた歌声。「ママに会いたい」というヒリヒリするような願いと、心から歌を愛する気持ちが、切ないメロディからあふれでていて、胸が痛くなりました。  
 製作は、「ニューシネマパラダイス」の主人公トト(大人)を演じた「ジャック・ぺラン」。監督は、ペランの甥でパリの音楽大学出身の「クリストフ・バラティエ」。本国フランスでは、昨年観客動員数750万人、前年の「アメリ」の記録を塗り替える大ヒット作品となったそうです。
 大掛かりな仕掛けも、派手な展開がなくても、心に響く映画はあるのだとつくづく感じさせられました。オススメいたします。