cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

京都・LA VOITUREの「タルトタタン」


 94歳のおばあちゃまが作るタルトタタンがある。昨年放映されたNHKの「グレーテルのかまど」という番組で、「松永ユリ」さんの「タルトタタン」のことを知りました。元々はフランス料理のお店だったという「LA VOITURE(ラ・ヴァチュール)」。40年前、ご主人と旅行したパリでタルトタタンの美味しさに衝撃を受けたというユリさん。
 現在、お店はお孫さんが引き継がれていますが、お店の一角には「YURI’S SEAT」というおばあちゃま専用のテーブルがあり、毎日タルトタタンの出来をチェックしに来られるのだそうです。ユリさんがもっともこだわったのは「リンゴの層の高さ」。二段に重ねられたリンゴは角がきりっと立ち上がっています。 

 
 鍋にリンゴを敷き詰めてコトコトコトコト4〜5時間。干し柿のような食感。飴色になるまで、もうちょっともうちょっとと何度もリンゴのチェックをされる姿が印象的でした(番組内で)。
 


 
50代で人生を変えるほどのお菓子に出会う。90歳を越えてもキラキラとした瞳で夢を追う。輝くタルトタタンと一人の女性の生き方が重なってみえるようでした。



 
 ↑は、昨年夏タルトタタン発祥の地・ラモット・ブーヴロン村の「HOTEL TATIN」を訪れたときのもの(→過去記事)。2005年、松永ユリさんは長年の功績が認められ、同村のタルトタタン愛好会よりメダルを授与。時代を超え国境を越え人をつなぐお菓子の不思議を思う。