cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

京都・はもづくし「大喜久」


夏に京都へ行くのなら、是非にも味わってみたいものがありました。 それは、「はも」。
しかし、鱧が好きなのかと問われれば、「はて?」と疑問符が浮かぶ私。そう、恥ずかしながらワタクシめの「はも歴」は大変にお粗末なもので、「はもおとし(with 梅肉ソース)」と「土瓶蒸し」くらいしか知らないのです(恥)。
しかも、それは「ホネ」が気になったりならなかったりするものでありまして、ホネを感じずに飲み込めれば「ホっ、よかった」。安堵のため息をもらすといった具合(苦笑)。 にもかかわらず、「はも」という響きには心が騒ぐのは何故なんでしょう。たぶん私はまだ本当の”はも”に出会っていない。そのことを分かっているからなのであります。
 というわけで今回は、「美味しい”はも”を知る」ということと、「はもを好きになって帰りたい」。2つの思いを胸に、「はもづくし」のお料理で知られる北白川の「大喜久さん」の門をくぐったのでありました。



 北白川の奥の奥。タクシーでなければ決してたどりつけないような場所にお店はありました。迎えてくださったのは、想像と違って、気さくなご主人(←どんな想像を?)。カウンター越しにおしゃべりに花が咲きます。
 「海のない京都では昔からいい魚が手に入りにくかったんです。でも鱗のない魚は傷みが遅い。だから瀬戸内海の方から運んでくることができたんです。ただホネが多い魚ですからね。どうやって食べようか。ということで職人たちが考え、腕を磨き、京都の鱧はおいしいと言われるようになったんです」。
 はもは、うつぼに似てちょいコワイお顔。長さは約70cmほど。そのうつぼじゃなかった、はもを一人あたり1.5尾使って10種類ほどのお料理にされるとのこと。約1メートル!! ひょー。食べられるかしら(言ってみただけ)。写真は↑「はもの冷製茶碗蒸し」「はもの玉〆蒸し(はもの玉子)」「はもと松茸の土瓶蒸し」。


 こちらは、「はもの骨切り刺身」。包丁で骨を断つ「シャシャシャ」という音が響きます。はも料理の下ごしらえに欠かせない骨きりの作業。大喜久では、一寸幅(約3CM)に33本の包丁を入れているとのこと。一般的には27本くらい入れられればかなりの腕前なのだそうで、それをはるかにしのぐ技の冴え。本数だけではなく、皮一枚のところで包丁を止められることも大事なのだとか。おいしい。そして美しい。


 「はもおとし・はも焼霜降り造り」。プリプリっとしたはもの身。。今まで食べてきた「はもおとし」とは全く違いました(涙)。梅肉ソースよりもわさび醤油の方が、はもを引き立てるかもしれませんね。とすすめられ、わさびでいただきました。軽くあぶった「はも焼き」がまた美味。「日本酒ください!」。(なんと「はも」という銘柄が!)


 「はもの源平焼き」。蒲焼きと白焼きの二種類です。あつあつ。はふはふ。

 「はも・海老・賀茂茄子」という夢のコラボ。略して「はもなす」(勝手に命名)。一度揚げて丁寧に油を抜きお出汁につけておいた賀茂茄子。とろけます。

 「はもしゃぶ」。お刺身でそのまま食べられる身をお鍋の中で20秒。ご主人が時計を貸してくださいまして、20秒ずつきっちりはかっていただきました。身をじーっと眺めて待つ20秒は思いのほか長く、時計おかないと待ちきれず手がでてしまうのです(笑)。

 「焼はも新生姜風味飯・羽釜炊」。お釜ごとどーんと出てきました。苦しい。でも幸せ。
 こうして、私の人生初の「はもづくし」は終了しました。〆のご飯をいただきながら、これで明日から私は「はもが好き」と胸を張って言える、そう思ったのであります。ごちそうさまでした(合掌)。




京料理 大喜久」