cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

Essentiels de Alain ducasse

アラン・デュカスの学校「ECOLE DE CUISINE」のことをもう少々。
 力強く存在感のあるリッツのデセールに対し、軽やかでスタイリッシュなアラン・デュカス。まったく違うタイプだけれど、どちらも古典的なフランス菓子がベース。朝は、タルト、アイス、ギモーヴ、ブリオッシュなどの基本生地の仕込み。午後に細かいパーツと組み立て。手順に大きな違いはなく、意外なほどすんなりとはいっていくことができました。
 
 シェフは、物静かで優しい人。。アラン・デュカスのレシピ本の多くは彼の監修によるものだそうで、私以外の人は全員その名を知っていました(汗)。なかなかのハンサムなので女性ファンが多いかと思いきや・・・・なぜか男性に人気があり・・・。うむー。わからないけど。うむー。

 「レストランのデセールは温度が命」。素早く正確に、どの皿も同じに仕上げること。ナイフの角度、ドゥレ(はけぬり)、ポッシュ(しぼり)、体のかまえやひじのはり。美しい姿勢が美しい動きを生むこと(キープ&ムーヴ)。流れの中での「止めのタイミング」。ひとつひとつの動作を確認しながら、なぜそうしなければならないのか、レストランデセールの大事な点はどこかなどなど。ここでの教えには、お菓子に対する「ESSENTIELS(心構えのようなもの)」がつまっていたような気がします。


 そして、お菓子以上に感動したのは食事タイム?? 一日が長いこともあって、ミーティングをかねた朝ごはん、ランチ、夕方の試食タイムと、食卓が三回設けられます。ランチは別の担当シェフが前菜とメインを準備。昼と夕方はシャンパンとワイン付き。どんなに時間が押していても、テーブルをビシっとセッティングして、ゆったりと食事をとります。「ホスピタリティ(おもてなし)の基本は、僕ら自身が食べる楽しみを知っているかどうかだと思うんですよね」とシェフ。両隣の人と「ボナペティ」「ボナペティ」と声を掛け合ってにっこり。グラスのふれあう音が部屋ひびき、温かな空気で満たされていきます。
 レストランは舞台のようなもの。デザートは流れをしめくくる最後の見せ場。それを作ることがなんと楽しく幸せなことか。いままで必死すぎて忘れていたことを、思い出させてもらったのでありました。