cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

STRONG MACARON


私のリッツでの試験のひとつは、MACARON CARAMEL BEURRE SALE(塩キャラメルのマカロン)でした。
「はじめる前に、君にひとつ質問をしたいんだ。マカロンはどんなイメージ??」とシェフ。
「美しくエレガントなお菓子。パリのイメージです」
「僕もマカロンはパリをあらわしていると思うよ。でも美しいだけじゃない。ここにはいろんな人種がいて、騒々しくてせわしなくて混沌としている。そう思わない?」
「はい」
「そんな中で、普通のものを作っても誰もふりむいてくれない。前にも言ったようにPassion&impressionだよ。食べ物は一瞬で消えてしまうものだからひと口目が大事。今日は僕を驚かせてほしいんだ。こんなにも力強いキャラメルブールサレがあるのかって。ストロングマカロンをたのむよ!パリのパワーを全部詰め込んで」
「ウィ、シェフ!」。

 頭の中に稲妻が!「強いマカロンを作る」。いままで一度も考えたこともありませんでした。試験には合格したものの、どうしたらそんなマカロンが作れるのだろう。私はマカロンをしらなすぎる。。。
 というわけで、あちこちのアトリエに遠征してマカロンの勉強に作ってきました。一挙に3スタジオ紹介します。いつにもまして長いです。すいません。



LENOTRE MACARON

 ECOLE LENOTREにて。マカロンは小ぶり(2〜3cm)。フレンチメレンゲを使用。クラッシックなバタークリームとあわせるのがルノートル流だそうです。
この日はFRAMBOISE(フランボワーズ)、CHOCORATHE(アールグレイショコラ)、CARAMEL BEURRE SALE(塩バターキャラメル)の三種類。生のフランボワーズを大胆に混ぜ込んだクリームは酸味がきいていて、おお、これはIMPRESSIONだ!!と思いました。マカロンのしぼりの最後のカット(横にすっとひく)や、キャラメルの作りかたなど、いかに失敗を少なくするかというところに重点をおいていて参考になりました。リッツのシェフだったら失敗がこわくてどうする言いそう・・(あくまで個人的な感想)。
 余談ですが・・。この日私はルノートルの事務局とトラブルがあり、カンカンに怒って帰るところだったのを、このシェフが間にたってとりなしてくれました。その話もまたいつか。いやほんとパリは気が抜けないところです。マカロンより先に、人間がストロングになりそう。
でもいい人もいます。こちらもわかってもらう努力をすること。それはパリでなくてもきっと同じ。やりたいことがあるならば簡単にあきらめてはいけないと肝に銘じたのでした。
 


ATELIER GUY MARTIN

 
 レストランを経営し、レシピ本など多数出版している「GUY MARTIN」。メトロ9番線「MIROMENISIL」から徒歩1分。男性の参加者が多くてびっくりしました。私がいくのが、夜か土曜日というせいもありますが。。。お菓子を学ぶ男性、ステキだと思いました。
 えぇ、そして言うまでもなくすべてフランス語でした。そしてレシピはなし。口頭での説明のみでした。
 私以外に女性も1人参加していましたが、外国人と組むのはいやと言われ、はぁそうですかと言う感じで・・・。もうそれくらいじゃいちいちショック受けてられないんで、大丈夫ですよ。はい。しかしその後私がスタージュしていることをしると彼女はニッコリもどってきましたけど。。。えぇいいんですよ。そういうもんでしょう。わかりやすくて大変けっこうです。
 ここのマカロンは、イタリアンメレンゲ。シナモン味のマカロンにキャラメリゼしたリンゴの組み合わせ。バターをほとんど使わないガルニチュール(詰め物)は軽い口当たり。ほかにもPETIT FOUR(プティフール)を数種習いましたが、全体にシンプルで甘みをおさえたもの。現代風というんでしょうか。もしかしたらここではお菓子よりお料理を習ったほうがいいかなぁ。とちょっとそんな気がしました。

L'ATLIER D'CHEF


 ギャラリー・ラファイエット内をはじめ、パリ数箇所にスタジオ展開しているアトリエ・ド・シェフ。この日は、GUY MARTINと同じメトロ9番線「MIROMESINIL」にあるアトリエに行きました。最新の設備が整った素晴らしいスタジオ。
 ここも全員フランス人でしたので、スタジオ内もフランス語(もうなれてきた)。最初にシェフのところへいって「言葉がうまくないけれども、今パリでお菓子の勉強しているので内容はわかると思います」ということをエックスキューズして入りました。自分がどんな人間かをあらかじめ説明しておくことは、とても重要だと思う今日このごろ。そして、この日のシェフはリッツにいたことがあり、共通の知人がいることが判明。好意的に迎えてくれてホっとしました。
 さて授業ですが、レシピは用意されていません。口頭での説明のみ(ひぃ)。レシピはあとからメールで送られてきました。
 そうそう。ここも男性が多かったです。二人一組になればいいところを7人グループ(男性)でひとかたまりになって作っていて不思議でした(他のスペースいっぱいあいているのに)。なぜ?なぜ? それもまたフランス??


 アトリエ・ド・シェフはフレンチメレンゲを使用。ちなみにエルメやラデュレなどはイタリアンメレンゲだそうです。リッツでもイタリアンメレンゲ。でももしかしたら、家で作るなら失敗の少ないフレンチメレンゲのほうがいいのかもしれません。
 その他、天板をトントンして泡抜きしたり、できあがったマカロンの真ん中を指でぐっと押してくぼみをつくったり・・・。今までやってはいいけないといわれていた数々が、ここでは推奨されていました。えーーー??と戸惑いつつも、豪に入ってはなんとやらで。。。。
 マカロンはチョコとバニラを準備。クリームはトンカ豆を使ったガナッシュクリームと、オレンジクリーム。くぼみを作った分、クリームがたくさんはいりましたが、その分ホロっとくずれるような感じはなくなり・・・。どこに重点をおくか。なにをおいしいと思うか。お店によって(人によって)さまざまな考え方があるんだなぁと思いました。

ECOLE RITZ ESCOFFIER


 RITZにて。CARAMEL BEURRE SALE。香りと色づけのために少しだけコーヒーリキッドを加え、表面にはアーモンドを散らして。

 食べてくれた人が強さとエネルギーを感じてくれるようなそんなマカロン。いつかつくれますように。いろいろな思いをかかえて再びリッツへと戻るのでした。