cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

めでたきかなワニ♪ (解体見学)


暮れも押し迫った12月26日。知り合いの方から「ワニの解体を見に行きませんか」というお誘いを受けました。
広島県北西部・備北地方では、お正月にワニを食べる風習が残っているそうです。ワニとはこのあたりの呼び方で「サメ」のこと。
『体内にアンモニアを多く蓄積し、腐敗しにくいサメは流通が未発達の時代、山間部では刺身で食べられる貴重な魚だった。秋から冬にかけてが一番おいしいと言われ、この地方では今でも秋の祭りや正月など「ハレの日」に食卓に並ぶことが多い』(朝日新聞広島版2008年12月28日より)。
広島のお正月といえば、カキに穴子、ブリにハマグリなどが思い浮かびますが、備北地方ではワニもがんばっているんですねぇ。
そんなわけで、今日はワニの解体レポートです。続き読んでくれないと咬んじゃう。がぅ(鮫)
 

雪が降りしきる寒い朝。おうかがいしたのは、庄原市西条にある丸八商店さん。魚の卸をされているお店です。「今日のワニは縁起物。頭のついたやつを特別に頼んであるんよ。楽しみやね。」とご主人(通常は釣り上げるとすぐに頭を落としてしまう)。


お正月用として仕入れるワニは15頭。ネズミザメが主流だそうです。「昔は島根のあたりから運ばれてきたけど、最近は和歌山や九州方面からだねぇ」。


「ほんじゃやりますか」(突然始まる)。あっという間に背びれをカット。100キロのサメが包丁一本で手際よくさばかれていきます。

 
この日は、地元テレビなど数社が取材に来ていました。ワニは師走の風物詩♪


内臓をとるのはちょっと大変。かわいい助っ人が二人応援に(五歳)。慣れた手つきでヒョイっとお腹の皮をもちあげます。


10分ほどで切り分けられたワニ。これで一頭分。お客さんがきてから、注文に応じてカットするそうです。お正月にいただく大事な大事なごちそう。

身はうすいピンク色。お刺身にしてショウガ醤油でいただくのがおいしいそうです。私も一度だけ食べたことがありますが、新鮮な身はクセがなく、淡泊な味わい。ハマチと言われて出されたらたぶん分からないと思います(私だけ?)。


命あるものをおいしくいただくのに、その姿を知るのも大事なこと。ほら見て。すごい歯。サメの口をガオーっとあけてくれるお母さん。


「よく見るとかわいい顔してますねぇ」。「持って帰ってもええよー」「え、え、え・・」。今回はお気持ちだけいただいてご辞退しました(やや残念)。


備北地方のお正月には「ハマグリ」もかかせません。たいていはキロ単位で売られているようです。お雑煮に使うお家が多いのだとか。うーん。食べたい。


地方によってごちそうの形は様々ですが、新年を祝う気持ちは同じ。今まで縁遠かったワニが、なんだか福の神に思えてきました。丸八商店の皆様、ありがとうございました。どうぞよいお年を。