「山越」の釜玉山かけ
小麦粉と塩と水。たったこれだけの材料なのに、圧倒的な個性を放つ「さぬきうどん」。
作り方は、ほとんど同じように見えるのに、一軒一軒で味も食感も違うから不思議。
さぬきうどんの世界はあまりにも深く、その真髄にせまるには、とにかく食べて食べてたべまくらなければ始まりません。
うどん参り第一弾、本日向かいましたのは、香川県綾上町にある「山越」。
狙うは、もちろんお店自慢の「釜あげ卵うどん」(通称:釜玉)です♪
さぬきうどんブームの火付け役となった名著「恐るべきさぬきうどん(ISBN:4101059225)」でも、そのおいしさを高く評価された「山越」。当時は家族経営だったこのお店も、今では50台分の駐車場が県外ナンバーであふれる人気店です。
本来は「製麺所」ですから、半分は作業場、半分がお店。うどんをゆでる三角巾姿のおばちゃんの後ろでは、いそがしく麺を打つ人の姿も見えて、店内は活気にみちています。
お店の前に貼られている「お品書き」を見て、うーんと悩みます。「釜玉、釜玉」と思ってきたのですが、ほかにも、「釜あげ卵山かけうどん」というのがあるではないですか!!
は〜、どっちにしよう。卵も好きですが「とろろ」も大好き(←優柔不断)。結局、「釜玉山かけ」を注文することにしました。
ささっと卵をといた丼に、あつあつのうどんをいれて、ひとまぜ。とろろと青ネギをのせてと、完成までにかかる時間はわずか30秒。おばちゃんたちの手際は鮮やかです。
カウンターの棚にならぶのは、げそ天、きんぴら天、ちくわ天。まだ揚げたてで、箸で持つとジュっと音がなります。ちくわ天を一本とって、おじちゃんが待つ会計へ。
お:「お姉ちゃん、だしわかる?」
C:「わ、わからんです・・・」
お:「ほなかけたげよ」「つけだしの方がええで」
C:「え、は、へ、はぁ、そーなんですか」(←まったく分かってない人)
お:「よしゃ、これくらいや」
C:(ひゃ〜と感動中)
お:「箸はあそこ、水の場所わかるか?」
という具合で、おじちゃんに全て助けてもらい、無事席にたどり着けました。おじちゃん、ありがとう〜(涙)。
ところで、「釜玉」って卵の黄身だけを使うとずっと思いこんでいて、家で作る時もカルボナーラっぽくして食べていたのですが、実は違ったようです。山越では全卵を溶いていました。
ビシっと歯ごたえがあって、それでいてなめらかな麺。ざらりとした舌触りの「とろろ」とやさしい「卵のヴェール」をまとっても、そのコシはいささかのぶれもなく、ますますうまさが冴えるようです。
日本一小さな県、香川には信号の数よりも「うどん屋」が多いといわれています。ちなみに香川県人が食べるうどんの平均回数は、週に5日とか。
「うどん通」への道は、果てしなく遠くに感じますが、この「うどん参り」、しばらく続きそうです。