cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

本物の「BELLINI」

今回、ミラノでドルチェ以上にはまったのが、夜の「アペリティーボ(食前酒)」です。特に「bellini(ベッリーニ)」というカクテルがお気に入りで、毎晩のように飲みました。
 モモのジュースとスプマンテで作る「ベッリーニ」は、1948年にヴェネチアのハリーズ・バーが、画家ベッリーニの展覧会を記念して作ったカクテル。夏にピッタリのさわやかなアペリティーボとして、たちまち世界中に広まったそうです。
 写真は、「peck」の二階のBARで飲んだ「ベッリーニ」(ビールに見えたらゴメンナサイ)。実は昨日ここでワインを飲んでいて、隣にいたおじさんに「ここは本物のモモを使ったベッリーニが飲めるんだよ」と教えてもらったのです。
 バリスタは昨日と同じお兄さん。「他のお店ではピーチ・ネクターを使ってベッリーニを作るんですけど、うちでは夏になるとモモを丸ごと1個むいて作ります。それも黄色いモモではなくピンクのモモ。だからとてもデリケートな味になるんです。」と説明してくれました。その通り。泡の中からわきたつモモの香り、やわらかな口当たりがなんともいえません。
 この後、昨日会ったおじさんと偶然再会。もちろんおじさんが頼んだのもベッリーニ。毎日仕事帰りにここに寄ってベッリーニを飲むのが楽しみなんだとか。「ベッリーニはとても繊細な飲み物。モモの状態によって毎日少しずつ色が違う。淡いピンク色のベッリーニが飲めるときは幸せなんだよ〜」と目を細めます。もちろん本物のベッリーニが飲めるのは夏の間だけ。うーん、ベッリーニって奥深い。
 Barが混んでくるとおつまみの種類も入れ替わります。「フィレンツェにはこんなおいしいつまみはないでしょう?」とバリスタの人が、モッツァレッラドライトマトのサンドイッチやハムやサーモンのカナッペをたくさんだしてくれました。おつまみがおいしいとアペリティーボの楽しさも倍増です。
  帰りはみんなが「またおいでね〜」と握手をしたり肩をたたいたりしてくれます。ミラノ人は、ローマやナポリの人たちのように開けっぴろげな笑顔やお世辞をふりまかないけれど、控えめな仕草に愛情があふれています。「ぼくらは毎日同じ時間にここにいるよ。多分10年後も20年後も。だからいつでもまたおいで」と言葉をかけられ、ジワっと涙腺がゆるみそうになりました。すっかりミラノ(ミラノのお酒か?)のファンになってしまった私。この日のベッリーニを超えるものは、当分飲めそうにありません。