cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

パリの3つ星「ルカ・キャルトン」

 「旅先で食べたもので、その土地の印象が大きく変わる」。旅行の日程がたったら、ホテルよりも先にレストラン探しを始めます。でも迷いに迷って選んだレストランが、「当たり」になるかどうかは運次第。だから「運命の一皿」に巡りあえた時の喜びは格別です。(でも失敗したときも、いい思い出だったりして。ふふふ)
パリの星付きレストラン「ルカ・キャルトン」(写真)は、「本物のミルフィーユ」との出会いを果たした思い出深い店です。ミルフィーユほど、食べるのが難しいケーキはありません。すぐにグチャグチャに崩れてしまい、エレガントに食べるのは至難の業。
でも、「ルカ・キャルトン」のミルフィーユは、フォークがスーッと下まで入ります。パイがサクッとしているので、クリームとのバランスをキープしたまま、最後まで食べきることができるのです。完璧なミルフィーユを前に、思わず笑みがこぼれます。
 見た目はシンプルです。パイとクレームパティシエール(カスタードクリーム)を積み重ね、粉糖で少しお化粧しただけ。フルーツなどよけいな装飾がない分、軽やかなクリームのおいしさが際立ちます。ほんのり温かさが残ったパイは、完璧なタイミングを計って焼いているのでしょう。手早く美しくその場で仕上げをするのは、簡単そうで難しいことです。「最高の状態のものをサーヴしたい」というシェフの思いも温かく伝わってきます。私の心の中に3つ星がきらめいているお店です。