cipolinaの甘い生活

お菓子ときどき旅

忘れられないMozzarellaの味

パエストゥムは、1月とは思えないほどの暖かさ。上着を脱いで軽装になり、遺跡を1時間半ほど散策。。教会の正午の鐘を聞いてお腹も一緒に鳴りだします。さぁ、いよいよモッツァレッラを食べに行くぞ。
しかし、パエストゥムからサレルノまでの40キロ近いモッツァレッラ街道には、100mおきくらいに「mozzarelle」のお店があります。どこに入っていいのかわからなくて、とりあえずお客さんがいそうな店の前に車を停めます。ウィンドウに近づいて様子を窺いますが、ガラスのチーズケースの中にモッツァレッラの姿は見えません。なかなか入る勇気が出ないでいると、外まで聞こえる大声で「Prego、Signora!Entra!(どうぞ、はいってきて)」。お店のおじさんが手招き。中にいたお客さんが一斉に振り返り、顔から火がでそう。「モッツァレッラが食べたいんでしょ?だったらここで味見していきなよ」。そ、その通りです。

できたてモッツァレッラの味

 モッツァレッラはカウンターの奥の大きな発砲スチロールの箱に入っていました。直径4cmから10cmくらいのものまで、いろんなサイズの白いかたまりが塩水の中にプカプカと浮いています。「大きいの?小さいの?」注文はグラムじゃなくて大きさです(適当だなぁ)。小さいモッツァレッラ4つとカウンターにあった切り売りピッツァを一切れもらい、入口脇のテーブルで試食させてもらいます。
ほんわり甘くてかすかな塩味、ミルクがしみでるようなできたてのやわらかな感触にうっとり。いくつでも食べられそうなほどのおいしさ。そこに牛乳屋のお兄さんが入ってきて、水牛マークが入った1リットル入りの紙パックを10本置いていきます。ご主人はそのうちの一本を掲げながら「毎朝ここで10リットル分作ってるんだよ。どうだい、おいしいだろう」と胸をはります。

ぜいたくなパニーニ

 どのお店も、入り口には大きく「Colazione」と書かれています。朝食や軽い食事がとれるBarといったところでしょうか。モッツァレッラの他にもハムやパン、飲物などが置いてあります。学校帰りの子供たちが「モッツァレッラ小さいの1つ」を買いに寄ったり、近所のマンマやおじさんたちがお昼ごはん用のパニーニを頼んで、ひとしきりおしゃべりに花をさかせていきます。話し好きのお店のご主人も大忙しです(手より口の方がよく動いてたりして……)。
私たちもモッツァレッラとプロシュートのパニーニにチャレンジ。パンも20cm〜40cmくらいまでサイズがいろいろあります。ここでも「小さいの?大きいの?」。もちろん小さいの(顔くらいの大きさ?)をお願いします。おじさんは鼻歌まじりにまずは大きなモッツァレッラ2つを1cmくらいの厚さにスライス。そして丁寧に生ハムを切り出します。1枚、2枚……どこまで切るのかと思っているとなんと10枚!こんなゴージャスなパニーノは生まれて初めて!アマルフィへのドライブの途中に食べたいと、持ち帰り用の袋につめてもらいました。
車に乗り込もうとすると、その脇をヘソだしシャツに大きなピアスの女の子が肩をいからせて通り過ぎていきます。「Babbo(パパ)、おしゃべりしてないで早くお昼に帰ってきて!」その声はすんごく大きくて、外までバッチリ聞こえました。